ローカルビジネスのPRにも活用できる!ショート動画のススメ 株式会社ショートムービー 米田 侑弘さん

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今回は、札幌の企業の「TikTok運用」を代行している株式会社ショートムービーの代表 米田 侑弘(よねた ゆきひろ)さんにお話を伺いました。

起業をしているなら「ショート動画をやらない理由はない」と話す米田さんに、

ビジネスでどのような活用ができるのか深堀してきました。

(取材日:2024年9月・インタビュー:濱内勇一、原くみこ・文:掛橋愛理)

ロカロウ
ローカルビジネスでTikTokを活用するコツについて質問してみたよ!
株式会社ショートムービー 代表取締役 米田 侑弘(よねた ゆきひろ)
北海道札幌市出身。北海道情報大学在学中に、TikTok運用を代行する株式会社ショートムービーを設立。「企業の良さ・強みはショート動画で伝えられる」という想いのもと、札幌を拠点に顧客の課題解決につながるショート動画を企画立案、制作し、運用代行を行う。

北海道のビジネスは、ショート動画でPR!

原:地方の企業がTikTokを活用するメリットについて、米田さんはどのようにお考えですか?

米田:大きく2つあると思います。ひとつは同じ地域の競合企業との差別化になり、お客さんに自分たちのサービスを見つけてもらいやすくなるということ。なぜなら東京など首都圏と比べて、札幌でビジネスに活用している企業が少ないからです。

もうひとつが、TikTokの機能として投稿に位置情報を設定できる機能があって、これが地域に根付いたビジネスをされている方たちにすごく合っている機能だということです。

原:Instagramの位置情報や、地域や店名のハッシュタグのような感じですかね。

米田:そうですね。たとえば『札幌』『すすきの』と設定しておくと、札幌市内やすすきのでTikTokを見ている人に、その動画がおすすめされやすくなるんです。

原:そういうアルゴリズムがあるんですね。

米田:この『位置情報に連動して投稿が拡散される』というのが、同じショート動画を使えるYouTubeやインスタに比べてビジネスに活用しやすいところです。僕の印象にはなりますが、InstagramよりもTikTokのほうがアルゴリズムが地域寄りになっているような感じがしています。
なので、店舗をかまえている場合やその地域でしか購入できないような商品やサービスを提供されている、一般の消費者向けに商品やサービスを提供している方でしたら、絶対やるべき!と僕は思っています。

原:TikTokの”おすすめ”は、自分がよく見ているものや、フォローしている人と関係するものだけが出てくると思っていました。いまいる場所も考慮されているんですか?

米田:はい、あとアルゴリズム的にプッシュされやすいのに加えて、シンプルに「知ってる場所だ」「札幌の話だ」っていう地元ネタはつい最後まで見てしまうので、結果的にその地域の人により動画が再生されやすくなるんです。

原:たしかに身近な話や共感ネタは、つい見てしまいますね。「札幌でショート動画を発信している会社が少ない」というお話からも、いまやっている会社は注目を集めやすいということになりますね。

米田:そうですね。これからは札幌でも取り組む企業が増えてくると思うので、早めに始めておくのがおすすめです。

濱内:今なら競合がまだ少ない状態なんですね。興味のあるなしに関係なく、つい”見ささる”地元の動画が流れてきたら、見てしまいますもんね。

米田:はい、競合が少ないので「札幌の動画」というだけで札幌の方に見てもらえる可能性が高い状態です。レッドオーシャンにはまだなっていないので、やるなら早く!ということです。

ビジネスの成果=バズることではない

原:これまでサポートされた企業さんは、どのような目的で運用を希望されたのでしょうか?

米田:集客や採用がほとんどですが、中には単純に「再生回数を増やしたい」というご要望もありました。

原:私はTikTokをプライベートでしか見ていないんですが、面白いだけじゃなくって、ビジネスの成果として繋げるためにはどのように運用すれば良いのでしょう。

米田:じつは、TikTokが集客や採用に直接結びつくというわけではなく、あくまでそのきっかけづくりが大きな役割になります。

たとえば、ショート動画のコンテンツのうち、まず8割くらいは多くの人に面白いと思われるようなものを制作します。そして、残りの2割で「こういう商品・サービスがあります」、「今、採用募集しています」という、ビジネスの成果に繋げるためのメッセージがわかるような動画にする、という感じで内容を分けて制作するんです。

そしてこの2割をまずプロフィールのトップに固定します。再生数を出しやすい動画をとにかくたくさん見てもらえれば、固定したコンテンツも見てもらいやすくなるので、そうなると、商品・サービスの購入に繋がったり、採用の応募というアクションが起きやすくなるというイメージです。

原:なるほど、普段は情報や面白いコンテンツでファン化を図り、フォロワーに「この人が勧めるなら受け入れられる」という状況を作るということですね。

米田:そうです。ここでInstagramとの違いがあって、TikTokのほうが、さまざまな年代・性別の人に見られる可能性があります。拡散力が強いので、ターゲットではない人たちにも動画が届いている点に気を付けなければなりません。

原:SNSごとの特性をふまえた上で、”きっかけづくり”としてはTikTokをやってみた方が良いということでしょうか?

米田:はい、そうですね。不特定多数の人たちに向けて知ってもらう、ということに関してはやっぱりTikTokが強いので、まずはショート動画で目にとめてもらって知ってもらって、例えばその先はその企業の目的に合わせてInstagramをフォローしてもらうといった流れをつくっていくこともできますし。提案することも多いです。

濱内:それぞれのSNSの違いはあまり意識したことがなかったです。見ている人が違うからこそ、届けるコンテンツも伝わるように変えていく必要があるのですね。

原:ということは、Instagramのフォロワーを増やすためにTikTokを運用した方が良い、というケースもありそうですね。

米田:はい、商品やサービスを買ってもらうために、最終的にはLINEでお客さんとつながりたい、そのためにはInstagram、そのためにTikTok、と逆算して考えて運用する場合もあります。

企業から相談の多い、集客や採用が目的の場合は、TikTokだけで完結はしないので、お客様との接点からゴールまでの全体の流れにTikTokを上手く組み込んで活用する、ということになっていきます。

伸びる題材(流行)×企業の特色が再生数を増やすカギ

原:発信の内容も、企業の運用目的や業務に関連することを企画として立てる必要があるんですね。ということは、”踊ってみた”のような企画だけではだめということですね(笑)。

米田:TikTok=女子高校生が踊るというイメージがどうしても強いですよね。ですが、弊社ではそうした動画はこれまで一度も制作したことがないですね。

濱内:確かに若い人が踊っている動画のSNS、というイメージがあります。

米田:以前はそれだけ、だったかもしれませんが、今は少し変わってきています。、そうした”踊る”集団もいれば、グルメインフルエンサーや一般企業など、発信する人も多様になってきています。その中で、企業が「より多くの人に見てもらって集客や求人の応募につなげる、問い合わせを伸ばす」を目的に運用することを考えると「踊る」という企画は必ずしも効果的ではないんです。例えそれがダンススクールだったとしても、単に「踊りましょう!」という企画の提案は、今後もしないと思います(笑)。

原:企画は、会社の強みや特色などをヒアリングして、ショート動画で表現するならこういう内容が良い、と考えていらっしゃるんですか?

米田:そうです、加えて、ショート動画はそのときどきのトレンドがあるので、TikTokはもちろんインスタやYouTubeで、今流行っている企画が何なのかも調べます。何パターンも考えて最終的にその会社の皆さんがしっくりくるもので制作を進めることになります。

原:これまでサポートされたクライアントさんはどのような目的でTikTok運用を代行されたのですか?

米田:札幌にあるITベンチャー企業の株式会社インプル様からは、採用のためにアカウントを新規で立ち上げたいというご相談がありました。当時、料理動画がすごく注目されていた時期だったので、オフィスで料理をする動画の企画をご提案したところ、偶然にも「社員の中に元料理人がいます!」となり、本格的な料理動画を制作することができました。稿開始から3ヵ月ほどで190万再生と、フォロワー数も立ち上げの0人から5,500人にまで増やすことができました。

 

濱内:まさにかけ合わせですね。

米田:はい、さらにそこから採用の問い合わせをいただくなど反響が大きかったです。「再生数を増やしたい」というご要望はほかの企業からも相談されることが多いです。そのために、誰もが知る「すすきのの交差点」でインタビューをしまくる、という動画も制作したことがあります。

原:どんな内容のインタビューだったんですか?

米田:北海道の地名のクイズとかを出しました。この時は、開始から1ヶ月ぐらいでフォロワーが1,000人を超えました。

原:そんな短期間で!すごいですね。

TikTok運用で集客・採用に成功した事例

原:他にTikTok運用で企業のどのような課題を解決されてきましたか?

米田:札幌のすすきのでBARを運営している株式会社esエンターテイメント様では、新規の集客とアルバイトの採用をTikTokでご支援しました。ここのお店ではフレアショーがお客様からすごく人気があったので、そうしたショーの一部やお酒の紹介をショート動画の内容に構成して運用しました。

 

濱内:へえ、かっこいいですね!

米田:効果は抜群で、毎日3組以上のお客様から「TikTok見たよ」と声をかけられるようになったり、アルバイトの応募も増えたと担当の方から言っていただくことができ、嬉しかったですね。

”動画”で社内の雰囲気が変わる

原:集客や採用以外のメリットはなにかありますか?例えば自社が新聞やテレビなどで紹介されると、社員は会社のことを誇らしく思えるといった社内広報的な効果などはTikTokでもありますか?

米田:はい、社外だけでなく社内にもすごく良い影響があると感じています。ショート動画はだいたい週に1回くらいのペースで動画を制作していく場合が多いんですね。その撮影を会社の中でやっているとだんだん社内でも知られるようになって「今日も昼に撮影するんだね」といった感じで会話が生まれたりして、働く人たちのエンゲージメントが高まってくるのを現場で感じます。そして不思議なんですが、そうした雰囲気はショート動画からも伝わってくるんですよね。

原:もし、自分が転職先を探していて、候補の会社でショート動画があったとしたら絶対に見ますし、そこで雰囲気の良さが伝わってきたら働きたい決め手の一つになりますよね。

濱内:入ってみないと社内の雰囲気がわからない会社が結構多いですしね。

ロカロウ
他の施策と比べてコスパはどうなんだろう?!

費用対効果は長期的に見て!

原:自分たちでやるのではなく、運用代行をお願いするとなると、他のSNSに比べて動画コンテンツの制作はすごく費用が高そうなイメージがあります。予算を考える際のポイントや、費用対効果の面についてはいかがでしょう?

米田:そうですね、例えば弊社の場合でいうと、しっかりとリサーチした上で企画立案をしています。撮影・編集以上に企画が大切なので、その予算はどうしても頂くことになりますが、その費用対効果については長期的な視点でみていただけたらとお伝えしています。

濱内:長期的というと?

米田:SNSを活用して自社の商品やサービスを知ってもらう人を増やす、見込み客や潜在顧客の母数を増やしていくことは、その先のすべての事業に確実に繋がっていくという意味です。

原:かけた予算がすぐに集客や採用の目標達成に直結するかどうかという考え方というより、どちらかというと、広報的な意味合いや、見込み客との最初の接点を獲得するための広告として選択肢に入れるといいかもしれない、ということですよね。

米田:そうですね、そしてフォロワーさんが増えていけば、ショート動画を発信し続ける限りその方たちに何度も情報を届けられるというところもSNSの強みといえます。

濱内:広告だと本当に出稿してる期間しか見てもらえませんが、ストック的なコンテンツとして、過去の動画も見てもらえる可能性があるということなんですね。

米田:そうですね、あとは、求人に応募してきた人に、「この動画を見ておいて」と採用に関する過去の投稿のURLを共有するといった使い方もできます。投稿が資産としてストックされ活用できる点も、他のSNSにはないメリットだと僕は考えています。

オンライン時代の企業戦略:ショート動画が果たす役割とは?

原 :「企業もショート動画をやらない理由がない」そうお考えになる一番の理由はなんですか?

米田:今、最も広く深く自社の商品やサービスを知ってもらえる媒体がショート動画だと考えているからです。今の若い人たちのコミュニケーションの主流は、オフラインよりオンライン、パソコンよりスマホです。

もし、自社の商品サービスを一般消費者向けに展開している方なら、いまはWebメディアよりもSNSで発信をするほうが向いています。ただXやInstagramの場合、知名度のない状態からスタートしてたくさんの人に見てもらうまでには、フォロワーを増やしたりすごく時間がかかります。ショート動画、特にTikTokは他のSNSと比べて、知名度の低い状態からでも知らない人との接点を作りやすい媒体なので、企業もぜひチャレンジして欲しいですね。

原:BtoBで事業を展開している会社さんについてはどうでしょうか?

米田:情報発信の側面から見ると、BtoBの事業でも集客や採用においてやる意味はあると思います。

濱内:といいますと?

米田:企業の場合は、会社のホームページが必ずありますよね。それと同じように、これからは企業もSNSアカウントを最低限運用しているのが当たり前と思われるので、いつやるか、まだやっていないなら、今でしょ、という感じですね。

例えば採用において、社内の雰囲気などが文章で説明されているのと、動画で見て感じるのとでは求職者の受ける印象も大きく違ってくると思うんですね。

社内の知ってほしい情報を、文字だけでなく、動画でも伝えられるようにしておく。会社の動きに合わせて週に一本くらいのペースで、何かしらのショート動画を更新していくといいと思います。

いまショート動画制作を頼むなら

濱内:もし今、ショート動画の運用代行を頼もうかと考えている方がいるとしたら、どんな点を意識して依頼する相手を選べば良いですか?

米田:ショート動画制作の会社の中でも、さらにそれぞれ専門性や得意分野が異なります。例えば医療や美容系・健康系はしっかり知識がないと運用を成果につなげるのが難しいという話も聞きますので、運用会社ごとの得意分野がどこなのか?、そこでどのような実績を出しているかを確認することがポイントになります!

まとめ

お話をうかがって、今は北海道の企業がTikTokを活用する大きなチャンスのタイミングなのでは…と感じました。

位置情報設定などの機能を知って上手く活用することで、たくさんの人に知ってもらえる可能性も秘めているなんて…まさに「やらない理由は見つからない!」ですね!

この記事を読んだ起業家の皆さんにとって、ショート動画も発信の選択肢の一つになれば嬉しいです!

 

取材協力

株式会社ショートムービー 米田  侑弘さん

 住所:〒060-0061 北海道札幌市中央区南一条西十六丁目1番地323 春野ビル3F
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